外壁塗装を頼もうとする施主が、まず何を見るか。スマホで「(地域名)外壁塗装」と検索して、地図と一緒に出てくる会社の一覧です。この地図の枠で上のほうに出ること——これをMEO(マップ・エンジン最適化)と呼びます。
MEOは、塗装会社の集客の中でいちばん費用対効果が高い入り口のひとつです。施主が地域名で探すからで、そこに出られれば、地元の見込み客に直接届きます。
ただ、この分野には「AI対策」「構造化データ」といった、お金のかかる話が混ざり込んでいます。結論から言うと、その多くはGoogleが公式に「不要」と言っているものです。この記事では、全国13,656社を実際に調べたデータと、Googleの公式見解をもとに、塗装会社が本当に手をつけるべきことだけを整理します。
MEO対策の会社から営業が来て、”AI検索に出るには構造化データが必要”って言われたんです。よく分からないけど、やらないと乗り遅れる気がして…。
その不安につけ込む売り方、多いんです。でも、Googleが公式に”それは要りません”と書いています。何が本当に効くのか、データと公式情報で順番に見ていきましょう。
そもそもMEOとは何か(SEOとの違い)
まず言葉を整理します。施主が「古河市 外壁塗装」と検索したとき、画面には大きく分けて2つの枠が出ます。
- 地図とお店の一覧(マップ枠):ここで上に出るのがMEO
- その下に続く記事やページの一覧(検索結果):ここで上に出るのがSEO
MEOは、Googleビジネスプロフィール(旧・Googleマイビジネス)という無料の登録情報が土台になります。会社の名前・住所・電話・営業時間・写真・口コミ。これらが充実しているほど、地図枠で上に出やすくなります。
MEOがいいのは、費用がかからず、地域の見込み客に直接届くことです。「(地域名)外壁塗装」で探す施主は、もう工事を考えている人です。そこに出られれば、いちばん濃い見込み客に会えます。
全国13,656社を調べたら、大半がまだ手つかずだった
私たちは2026年7月、全国47都道府県で、Googleビジネスプロフィールに登録されている外壁塗装事業者13,656社を1社ずつ調べました。推測ではなく、実際に数えた数字です。
その結果、大多数の会社が、MEOの土台にまだ手をつけていないことが分かりました。
| 項目 | 全国13,656社 |
|---|---|
| 自社サイトを持っている | 10,070社(73.7%) |
| サイトの平均点(100点満点) | 36.7点 |
| 40点未満 | 67.7% |
| 最上位のA評価(80点以上) | わずか43社(0.3%) |
1万社を超える中で、しっかり整えられている会社は43社しかいません。これは裏を返せば、基本を押さえるだけで、地域の中で目立てるということです。誰かが先に走って差を広げている、という状態ではありません。ほぼ全員が、まだスタートラインにいます。
もう少し細かく見ると、この傾向はもっとはっきりします。サイトを持っている10,070社のうち、口コミの星を自社サイト側に持たせている会社は0.5%しかいませんでした。ほとんどの会社が、Googleマップには星4.8がついているのに、その評判を自分のサイトやAIに伝えられていない状態です。腕でも評判でもなく、伝え方のところで、みんな揃って止まっている。
これは、都会か地方かの問題でもありません。北関東の4県で見ても、サイトを持つ割合は72〜83%、平均点は35〜38点と、全国とほとんど同じでした。業界全体が、まだこの分野に手をつけていない——それが、1社ずつ数えて分かった実態です。
だからこそ、何から手をつけるかを間違えないことが大事になります。お金のかかる「AI対策」に飛びつく前に、無料でできる土台が、まるごと空いています。
塗装業のMEOで、まずやるべき5つ
Googleビジネスプロフィールを整える基本は、次の5つです。難しい設定は要りません。すでに持っている情報を、埋めていくだけです。
1. 基本情報を、すべて埋める
会社名・住所・電話番号・営業時間・対応エリア・業種。空欄をなくすのが第一歩です。特に対応エリアは、市町村名まで具体的に書きます。ここは後で詳しく触れますが、いちばん取りこぼしが多いところです。
2. 写真を増やす(施工事例・職人・事務所)
施主は、顔と仕事が見える会社に安心します。施工前後の写真、作業中の職人、事務所の外観。スマホで撮ったものでかまいません。数がものを言います。
3. 口コミを、お願いする仕組みを作る
口コミは、待っていても増えません。工事が終わって施主が満足しているそのタイミングで、お願いする。これを仕組みにします。QRコードを渡す、お礼のハガキに一言添える。依頼するだけなら費用はかかりません。
4. 口コミには、必ず返信する
良い口コミにも、厳しい口コミにも返信します。誠実に対応している会社だと、次の施主に伝わります。厳しい口コミへの丁寧な返信は、実は何よりの信頼材料になります。
5. ホームページと情報を一致させる
会社名・住所・電話番号は、Googleビジネスプロフィールとホームページで、一字一句そろえる。表記がバラバラだと、GoogleもAIも「同じ会社」と認識しづらくなります。
ここまでが、MEOの土台です。お金はほとんどかかりません。かかるのは、少しの手間だけです。
全部、うちが持ってる情報ばかりですね。写真も口コミも、やってなかっただけで。
そうなんです。新しく買うものは何もない。現場で撮った写真と、満足してくれた施主の声。それを埋めるだけ。43社しかできてないなら、やった会社が目立ちます。
🚨「構造化データを入れればAIに出る」——これはGoogleが公式に否定しています
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
MEOやAI検索の対策として、「構造化データ」という特別な実装を売る会社があります。「これを入れないとAIに出ません」「星の評価をAIに読ませるために必要です」——そんな営業を受けたことがあるかもしれません。
その前提は、Googleの公式見解と食い違っています。
Googleは2026年5月、AI検索について公式にこう書いています。
> AI OverviewsやAIモードに表示されるための追加要件はなく、特別な最適化も必要ありません。(中略)新たに機械可読ファイルやAI用のテキストファイル、マークアップを作る必要はありません。追加すべき特別なschema.org構造化データもありません。 > — Google 検索セントラル「AI features and your website」
Google自身が「AIに出るための特別な仕掛けは要らない」と明言しています。
私たちの調査でも、これは裏付けられました。構造化データを実装している会社と、していない会社で、AIに名前が出る割合はほとんど変わりませんでした。「入れれば出る」という関係は、データ上見当たりません。
では、Googleは同じページで何が必要だと言っているのか。答えは拍子抜けするほどシンプルです。普通の検索対策と、信頼できる中身のあるコンテンツ。それだけです。
「構造化データを入れればAIに出ます」と言ってくる会社があれば、このGoogleの公式ページを一度見せてもらってください。おそらく、話が変わります。
本当に効くのは「あなたの会社が、地域名で検索に拾われること」
構造化データでないなら、何がAIに効くのか。
私たちが実際に調べたところ、AIが会社の名前を挙げるかどうかは、その会社のページが検索で拾われているかどうかに、いちばん強く関係していました。AIは、検索して見つけたページを読んで答えを作っているからです。
MEO・Googleマップも、根っこは同じです。あなたの会社が「(地域名)外壁塗装」で見つかる状態になっているか。地図枠でも、記事でも、AIの回答でも、拾われる会社は共通しています。
そして、ここで多くの塗装会社が取りこぼしているのが「対応エリア」です。
私たちの調査で、はっきりした傾向が出ました。会社が「行けるのに、サイトに書いていない」地域では、検索でもAIでも拾われない。逆に、隣の県であっても「対応エリアとして書いてある」地域では、ちゃんと拾われる。
距離でも県境でもなく、「書いてあるかどうか」で決まっていました。
これは、そのまま伸びしろです。ほとんどの塗装会社は、自分の市の名前しか書いていません。実際には行ける隣町の需要を、丸ごと取り逃しています。
- 実際に工事に行ける市町村を、すべて書き出す
- その市町村名を、Googleビジネスプロフィールとホームページの両方に、具体的に書く
これだけで、拾われる範囲が広がります。新しく買うものは、何もありません。
うち、”茨城県全域”としか書いてませんでした。市の名前、全部書いたほうがいいんですね。
“全域”だと、AIも検索も具体的に拾えないんです。行ける町の名前を、一つずつ。それだけで、隣町の施主に見つけてもらえるようになります。ここが、いちばんもったいないところでした。
Googleマップの順位は、何で決まっているのか
「埋めれば上に出る」とだけ言われても、腑に落ちないかもしれません。Googleは、地図枠の順位を決める考え方を公式に説明しています。大きく3つです。
- 関連性:施主が探しているものと、その会社がどれだけ合っているか。業種・サービス・説明文が具体的なほど高まります
- 距離:検索した人の場所から、どれくらい近いか。これは動かせません
- 知名度:どれだけ知られ、信頼されているか。口コミの数と評価、投稿の更新、そしてネット上での言及が効きます
この3つのうち、塗装会社が手を入れられるのは「関連性」と「知名度」です。距離は変えられませんが、残り2つは埋めた分だけ動きます。だから、業種と対応エリアを具体的に書き(関連性)、口コミと投稿を積む(知名度)——ここまでの話が、そのまま順位に効いてきます。
逆に言えば、基本情報がスカスカで、口コミもゼロの会社は、いくら近くても上に出ません。距離だけでは勝てない、ということです。
口コミの集め方で、やってはいけないこと
口コミは大事だとお伝えしましたが、集め方を間違えると、逆にペナルティを受けます。ここは知らずにやってしまう会社が多いので、はっきり書いておきます。
- お金や割引と引き換えに口コミを頼むのはNG:「レビューを書いたら〇〇円引き」はGoogleの規約違反です。アカウントごと評価を消されることもあります
- 自作自演はNG:自分や家族が客のふりをして書く、業者から買う——見破られますし、発覚すれば信用も評価も失います
- 一度にまとめて依頼しない:同じ日に大量の口コミが増えると、不自然と判断されることがあります
正しいのは、満足してくれた施主に、自然にお願いすること。それだけです。工事が終わって「ありがとう」と言ってもらえたそのタイミングで、「よかったら口コミをいただけると嬉しいです」と一言。QRコードを渡せば、その場で書いてもらえます。見返りは要りません。良い仕事をしていれば、口コミは自然に集まります。
Googleビジネスプロフィールの始め方(まだ登録していない会社へ)
ここまでの話は、Googleビジネスプロフィールに登録していることが前提でした。まだの会社のために、始め方を簡単に整理します。登録は無料です。
1. 「Googleビジネスプロフィール」で検索し、登録を始める:会社名を入れて、自分の会社を探します。すでに誰かが作った情報がある場合もあるので、その場合は「オーナー確認」に進みます 2. 業種を「塗装業」で登録する:ここがずれていると、施主の検索に出ません 3. 住所・電話・営業時間を、正確に入れる:ホームページの表記と一字一句そろえます 4. オーナー確認をする:ハガキ・電話・メールなどで「本当にこの会社の人か」を確認する手続きです。これを終えないと、情報を編集できません 5. 確認が済んだら、写真・対応エリア・説明文を埋める:ここからが、前の章の「5つ」です
難しい設定は、ひとつもありません。詰まりやすいのはオーナー確認だけで、ハガキが届くまで数日かかることがあります。そこさえ越えれば、あとは情報を埋めるだけです。
投稿機能で「動いている会社」だと伝える
Googleビジネスプロフィールには、お知らせを投稿できる機能があります。ブログのように、施工事例や季節のお知らせを載せられます。
これが地味に効きます。投稿が止まっている会社は、施主から見ると「今も営業しているのか」が分かりません。逆に、月に何回か投稿がある会社は、動いている実感が伝わります。
載せる中身は、難しく考えなくて大丈夫です。「〇〇市で外壁塗装が完了しました」と写真1枚。これで十分です。施工が終わるたびに1本。前の章の施工事例と、材料は同じです。一度撮った写真を、Googleビジネスプロフィールにも、ホームページにも使う。手間は増えません。
MEOだけに頼らない(口コミ評価と、地域の競合というリスク)
MEOは強い入り口ですが、いくつか注意点もあります。
まず口コミ評価は、下がるリスクもあるということです。一件の悪い口コミで平均が落ちることもあります。だからこそ、厳しい口コミにこそ丁寧に返信することが効いてきます。評価そのものより、対応の姿勢を施主は見ています。
次に地域によっては、競合が多いことです。都市部では、同じ「(地域名)外壁塗装」を狙う会社がたくさんいます。この場合、Googleビジネスプロフィールを埋めるだけでは差がつきません。写真の数、口コミの数と返信、そして自社サイトの中身——ここまで含めて、はじめて抜けられます。
そして、MEOはあくまで入り口のひとつだということです。地図枠から入る施主もいれば、記事を読んで比較する施主も、知人の紹介で来る施主もいます。MEO・SEO・ホームページ・口コミを、ばらばらにではなく、ひとつの流れとして組む。そこまでやって、下請けやポータル頼みから抜け出せます。
最後に、ひとつ大事な違いに触れておきます。MEOで育てるのは「自分の資産」だということです。一括見積もりサイト(ポータル)に載れば、たしかに問い合わせは来ます。でも、そこで払う掲載料や成約手数料は、いくら払っても自分の資産にはなりません。やめれば、問い合わせもゼロに戻ります。
Googleビジネスプロフィールと自社サイトは違います。写真も、口コミも、地域ページも、積み上げたぶんだけ自分のものとして残ります。最初は手間がかかりますが、育つほど、ポータルに払っていたお金が要らなくなっていく。これが、下請けやポータル頼みから抜け出すということです。
自社でやるか、代行に頼むか
ここまで読んで、「これくらいなら自分でできそう」と思った方も多いはずです。MEOの土台は、実際その通り、自社でできます。登録も、写真も、口コミの依頼も、投稿も、費用はかかりません。まずは自分でやってみるのがおすすめです。
一方で、手が回らない、続かないという現実もあります。日々の施工に追われて、写真のアップも口コミの返信も止まってしまう。そういうときに、代行という選択肢が出てきます。
代行に頼む場合、見るべきは「何をやってくれるのか」です。ここでも、この記事で見た注意点がそのまま効きます。「AI対策」「構造化データ」を売りにしている業者は、Googleが不要と言っているものにお金を払うことになりかねません。そうではなく、写真の追加・口コミの促進と返信・投稿の更新・対応エリアの整備——地道な運用を代わりにやってくれるかを確認してください。派手な言葉より、地味な運用を続けてくれる相手が、結局いちばん効きます。
どちらにしても、社長自身が「何が効くか」を分かっていること。それが、この分野で損をしないための一番の守りになります。
集客の全体像は、塗装業の集客方法|下請け脱却・元請け化のための全手法にまとめてあります。ホームページの作り方は塗装会社のホームページ制作|“問い合わせが来る”サイトの作り方と費用を、問い合わせが来た後の商談は外壁塗装の営業で値引きに頼らず契約率を上げる方法をあわせてご覧ください。
まとめ|お金をかける前に、無料でできることが残っている
構造化データにお金を払う前に、やることが山ほどありました。写真、口コミ、対応エリア。全部タダなんですね。
そうです。Googleが公式に”特別な対策は要らない”と言ってる。要るのは、行ける町の名前と、現場の写真と、施主の声。全部もう持ってるんです。まずそこからで十分です。
塗装業のMEO・Googleマップ集客について、大事なところを3つにまとめます。
1. 全国13,656社のうち、整えられているのは43社(0.3%)だけ:基本を押さえるだけで、地域の中で目立てます 2. 「構造化データを入れればAIに出る」はGoogleが公式に否定している:お金をかける前に、公式ページを確認してください 3. 本当に効くのは、あなたの会社が地域名で検索に拾われること:特に「対応エリアを市町村名まで書く」だけで、拾われる範囲が広がります
MEOは、下請けやポータル頼みから抜け出すための、いちばん手前の入り口です。お金をかける前に、無料でできることが、まだたくさん残っています。
塗装会社の地域集客を、ポータル頼みから“自社の資産”へ。
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よくある質問(FAQ)
Q1MEO対策に、費用はかかりますか?
Q2「AI検索に出るために構造化データが必要」と言われました。本当ですか?
Q3口コミはどうやって増やせばいいですか?
Q4対応エリアは、どう書くのがいいですか?
Q5MEOとSEO、どちらを先にやるべきですか?
Q6調査の数字は、どこまで信用できますか?
元請ラボは、塗装会社の社長と、外壁塗装を考える施主の両方に向けて、集客・費用・業者選び・メンテナンスの疑問にわかりやすく答える専門メディアです。
構造化データ・FAQを標準装備し、「地域名+外壁塗装」の検索とAI検索の両方で見つかる記事を、塗装業界にくわしい編集部が設計・公開しています。

