元請ラボ 地域集客実態調査 関東・茨城編
同じ市に店を構える会社どうしでも、
サイトに書いている“対応エリア”は
茨城・外壁塗装506社 全数調査 | motoukelabo.com
同じ市にいるのに、対応エリアを一つも書かない会社と、36市書く会社がいた ─ 茨城の外壁塗装506社調査
その差は、距離でも人口でもなく“書いてあるかどうか”だった。
2026年7月、茨城県の外壁塗装会社506社を調べ、自社サイトで対応エリアを確認できた260社について、書いている市の数を数えた。同じ市に店を構える会社どうしでも、対応エリアを一つも書かない会社から、36市書く会社まで開いていた。人口や立地では説明がつかない。実際にAIに「◯◯市 外壁塗装」と聞くと、サイトに書いていない市では一件も名前が出ず、書いてある市にだけ出てきた。ちなみに、この260社のうち37%は、自分の市ひとつしか書いていなかった。
調査対象:茨城県・506社実施:2026年7月手法:全数調査+機械診断
塗り替えは、外壁が傷んでから考えるもの——多くの人が、そう思っている。だが、傷みは塗るずっと前から、静かに始まっている。前もって手を打てた家と、そうでない家。その差は、ある日突然あらわれるわけではない。
同じことが、塗装会社の「見つけられ方」にも起きていた。良い仕事をしている。お客さんにも喜ばれている。なのに、次の一件がなかなか増えない。その理由は、腕ではなかった。
2026年7月、私たちは茨城県の外壁塗装会社506社を、一社ずつ調べた。Googleの地図に登録された会社を全て拾い、自社のサイトを持つ371社について、その中身を機械的に診断した。ちなみに残りの135社(約27%)は、自社サイトすら持っていなかった。地図の情報だけで戦っている、ということだ。知りたかったのは、ひとつ。腕は確かなのに、なぜかお客さんに届いていない会社が、どれくらいあるのか。
これは、塗装会社だけの話ではない
数字に入る前に、なぜこれが「業者の宿題」で終わらないのかを書いておきたい。外壁の塗り替えは、多くの人にとって一生に一、二度の、百万円単位の買い物だ。その業者を、私たちはいま、どうやって探しているだろうか。
スマートフォンで地図を開く。「◯◯市 外壁塗装」と検索する。そして最近は、ChatGPTのようなAIに「このあたりで評判のいい塗装屋は?」と尋ねる人も増えてきた。探し方は、この数年で確実に変わった。ところが、探される側の地元業者は、その変化に追いついていない。
結果として、何が起きるか。腕は確かで、近所の評判もいい——そんな会社ほど、新しい探し方の中で見つけられずに埋もれてしまう。これは、良い業者に出会えない消費者にとっての損であり、良い仕事をしながら埋もれていく地元の会社にとっての損でもある。まず、数字から見ていこう。
A評価は、506社のうち3社だけだった
各社のサイトを100点満点で採点し、A〜Eの5段階に分けた(採点の中身は末尾に記す)。結果が、図表1である。
図表1茨城 外壁塗装会社の評価分布(506社)
A:80点以上/B:60点台〜/C:40点台〜/D:20点台〜/E:20点未満。D・Eは、新しい検索への準備がほとんど、あるいは全く進んでいない層。
目を引くのは、A評価がわずか3社という事実だろう。D・Eを合わせると、全体のおよそ70%にのぼる。
だが、本当に見てほしいのは分布の形ではない。この点数を分けている“正体”を、同じ市に所在する会社どうしで比べてみると、はっきりと見えてくる。
同じ市にいても、書いているエリアはこれだけ違った
ここからが、今回いちばん伝えたい発見だ。地理の条件をそろえるため、同じ市に所在する会社どうしで、サイトに書いている対応エリア(市)の数を比べた。人口も、立地も、商圏も同じはずの会社たちである。
それでも、会社が多く集まる取手市では、対応エリアを一つも書かない会社から、36市書く会社まで開いていた。同じ市にいて、これだけの差がある。届く範囲の広さを決めているのは、距離でも人口でもなかった。
実際に、AIに「◯◯市 外壁塗装」と聞いてみると、はっきりしていた。書いてある市にだけ、名前が出た。書いていない市では、一件も出なかった。
同じ市に店を構える会社どうしでも、サイトに書いている対応エリアはここまで開いていた。先に、行ける範囲をきちんと書いた会社が、静かに前へ出ている。
この差は、特定の誰かの怠慢ではない。茨城の多くの会社が、まだ「行ける範囲をサイトに書く」という一手をとっていないだけだった。だからこそ、先に書いた会社ほど、静かに前へ出られる。
良い会社ほど、「書いていなかった」
いちばん“もったいない”と感じたのが、これだ。腕もいい、評判もいい、実際に隣の市まで施工に行っている。なのに、その隣の市をサイトに書いていない。すると、その市で業者を探している人にとっては、存在しないのと同じになってしまう。
口コミの評価そのものは、茨城全体で平均★4.6と高かった。腕や評判はむしろ十分だ。足りないのは、「どこまで行けるか」を書いておく——ただ、それだけだった。
対応エリアを確認できた260社のうち、「自分の市ひとつ」しか書いていなかった会社の割合。行ける市があっても、書いていなければ、そこでは探されない。
数字は、誰かを責めるためのものではない。「知らなかっただけ」で選ばれ損ねているとしたら、それは直せる、というだけの話だ。腕はもう十分にある。あとは、行ける範囲をちゃんと書いてあるか——本レポートが問いたいのは、その一点である。
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この「準備の遅れ」は、茨城のなかでも一様ではなかった。市区ごとに平均スコアを出すと、最も低い鉾田市(15.8点)と最も高いかすみがうら市(40.6点)で、2.6倍の開きがあった。同じ茨城でも、住む地域によって“良い業者の見つけやすさ”に差がある、ということだ。
図表3茨城 市区別の平均スコア(各市区の外壁塗装会社/100点満点)
対象社数が8社以上の市区を、平均スコアの低い順に並べた。オレンジは平均20点未満、濃い青は30点以上。数値は各市区に所在する会社の平均であり、個別企業の評価ではない。
これは、その地域に暮らす消費者にとっても、そこで商売をする会社にとっても、無視できない話ではないだろうか。数字が低い地域ほど、裏を返せば“先に整えた一社”が抜け出せる余白は大きい。
数字は、責めるためのものではない
ここまで並べた数字は、地元の会社を批判するためのものではない。むしろ逆だ。腕はもう十分にある。評判も集まっている。足りないのは「知らなかっただけ」の一点で、それは、直せる。
今回の調査を実施した元請ラボは、結果について次のように述べている。「良い職人さんほど、宣伝が得意ではありません。でも、探し方が変わった今、“見つけてもらう準備”をしているかどうかで、次の一件が変わってしまう。まずは自分の現在地を知ってほしい——その一心で、この調査と同じ基準の診断を、誰でも無料で使えるようにしました」。地域で選ばれ続ける会社を一社でも増やすことが、この調査を続ける理由だという。
調査方法
- 調査対象
- Googleビジネスプロフィールに登録された、茨城県の外壁塗装会社 506社(ドメイン重複を除く)。うち独自の公開サイトを確認できた371社を、サイト診断の母数とした。
- 取得方法
- Googleの地図データから市区ごとに全数取得。各社の公開サイトのHTMLを取得し、構造化データ・OGP・説明文・画像の代替テキスト等の有無を機械的に判定した。
- 対応エリアの計測
- 茨城県の調査対象506社のうち、自社サイトの本文を取得できた会社について、対応エリアとして記載された市区町村名を抽出し、その数を数えた(本文を取得でき、かつ所在市を書いている=地元業者として比較できたのは260社)。JavaScriptでしか本文を表示しないサイト、所在市を書かない広域業者(全国対応のフランチャイズ等)は集計から除いている。本文中の「対応エリア」割合(○%)は、いずれもこの260社を分母とする。
- AIでの実地確認
- 「◯◯市 外壁塗装」等でAIに実際に質問し、各社の表示有無を確認したのは、茨城県内4市・114社を対象とした実測にもとづく。他県はサイト上の対応エリア記述の集計のみで、AIへの実地確認は行っていない。
- 採点
- サイト側の準備(事業者情報の構造化・説明文・画像の代替テキスト等)とGoogleの口コミ状況をあわせて、100点満点で機械採点した。元請ラボが公開している無料診断ツールと同じ考え方にもとづく(配点は随時見直している)。
- 実施時期
- 2026年7月。集計は本調査時点のもので、各社の状況は変動する場合がある。
本レポートは茨城全体の傾向を統計としてまとめたものであり、個別企業のスコアや社名は公表していない。対応エリアの記述とAI回答の関係は、本調査で観察された傾向であり、「書けば必ず表示される・順位が上がる」ことを保証するものではない。地域の検索・AI回答には、サイトに書かれた事業者情報(所在地・対応エリア等)やGoogleビジネスプロフィールの状況など、複数の要因が影響する。
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