「外壁塗装の見積もりが、少し前より高くなっている気がする」——その背景には、塗料そのものの値上がりがあります。そしてその原因をたどると、「ナフサ」という石油からつくられる原料の不足にたどり着きます。ニュースで「ナフサショック」と聞いても、塗料とどうつながるのか分かりにくいですよね。この記事では、塗料がなぜ値上がりするのかを、原料のしくみから施主の方向けにやさしく整理します。
塗料が値上がりって聞くけど、そもそもなんで上がるんですか?塗料って石油と関係あるんですか?
いい質問です。実は塗料は、石油からできた原料をたくさん使っているんです。だから石油が上がると塗料も上がる。その”つながり”を知ると、値上げのニュースもぐっと分かりやすくなりますよ。
塗料が値上がりする一番の理由
まず結論から言うと、塗料が値上がりしている一番の理由は、塗料の原料である「ナフサ」が不足し、価格が高騰しているからです。ナフサは原油からつくられる石油由来の原料で、塗料やシンナー(薄め液)の大もとになっています。
塗料は、色をつける顔料や、塗膜をつくる樹脂、それを溶かす溶剤(シンナー)などからできています。このうち樹脂や溶剤の多くが石油由来で、ナフサを原料にしています。だから、ナフサが高くなれば塗料の製造コストが上がり、メーカーは値上げをせざるを得なくなる——これが値上がりの基本的な流れです。
ナフサとは?塗料とのつながり
ナフサという言葉は、あまり聞き慣れないかもしれません。かんたんに言うと、原油を精製する過程で取り出される、石油製品のもとになる原料です。ガソリンやプラスチック、そして塗料の原料など、私たちの身のまわりの多くのものが、このナフサからつくられています。
塗料との関係を、流れで見るとこうなります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 原油 | 中東などから輸入される石油 |
| ② ナフサ | 原油を精製して取り出す原料 |
| ③ 樹脂・溶剤 | ナフサからつくられる塗料の材料 |
| ④ 塗料・シンナー | ③を使って製造される |
このように、原油 → ナフサ → 塗料という川の流れのようなつながりがあります。だから、上流の原油やナフサが高騰すると、下流の塗料まで値段が上がっていくのです。
原油からナフサ、ナフサから塗料…って、川みたいにつながってるんですね。だから石油が上がると塗料も上がる。
その理解でばっちりです。塗料は”石油製品の親戚”みたいなもの。だから世界の原油の動きが、そのまま外壁塗装の値段にまで届くんですよ。
なぜナフサが高騰したのか
では、そのナフサがなぜ高騰したのか。背景にあるのは、中東情勢を背景とした原油の供給不安だとされています。原油は世界情勢の影響を受けやすく、産油地域の情勢が不安定になると、供給が減るとの見方から価格が跳ね上がります。
原油が上がれば、そこからつくられるナフサも上がる。ナフサが上がれば、塗料も上がる——この連鎖で、2026年に塗料メーカー各社が相次いで値上げを発表しました。塗装会社にも施主にもコントロールできない、世界規模の事情で起きているのが、今回の値上げの特徴です。
さらに、価格だけでなく「そもそもモノが入ってこない」供給の混乱も重なりました。原料が世界的に品薄になると、塗料そのものの生産や出荷が追いつかず、ほしい塗料がすぐに手に入らない場面も出てきます。価格が上がるだけなら「予算を増やせば買える」で済みますが、供給が滞ると「お金を払っても入荷を待つしかない」状況になり得ます。値上げの話題の裏には、こうした入手のしづらさという側面もあることは知っておいて損はありません。
なお、原油やナフサの価格は日々変動します。「これからどうなるか」を正確に予測するのは専門家でも難しく、「いつ落ち着く」と断定できる情報には注意したほうがよいでしょう。
値上がりの原因はナフサだけじゃない|重なった複数の要因
ここまで「ナフサ」を主役に説明してきましたが、実は今回の値上がりは、ナフサ高騰だけが原因ではありません。いくつもの事情が同じ時期に重なったことで、塗料や工事の値段が押し上げられています。
主に挙げられるのは、次のような要因です。
| 要因 | どう効くか |
|---|---|
| ナフサ・原油の高騰 | 塗料の樹脂・溶剤の原料コストが上がる |
| 円安 | 輸入する原料の支払いが増える(後述) |
| 物流費の上昇 | 船便の混雑・燃料高・国内の運び手不足で運搬コスト増 |
| 容器・副資材の値上がり | 缶などの容器や、塗料以外の付随資材も上昇 |
| 製造・人件費の上昇 | メーカー側の生産コスト全体が上がっている |
「ナフサが上がったから」だけでは説明しきれないほど、複数の値上がりが積み重なっているのが2026年の特徴です。だから、原油やナフサの価格が少し落ち着いたとしても、値段がすぐ元通りになるとは限りません。ニュースで「ナフサ」という言葉だけが強調されがちですが、実際にはこうした事情が束になって効いている、と押さえておくと全体像がつかみやすくなります。
円安がなぜ塗料代を押し上げるのか
複数の要因のなかでも、ナフサと並んで見落とせないのが円安です。塗料の原料になるナフサや石油由来の材料は、その多くを海外からの輸入に頼っています。輸入するときの支払いはドルなどの外貨で行われるため、円安が進むと「同じ量を買うのに、より多くの円が必要になる」状態になります。
つまり、たとえ海外での原料価格が変わらなくても、円安というだけで日本国内で塗料をつくるコストは上がってしまうのです。今回は「ナフサ自体の高騰」と「円安による輸入コスト増」が同時に起きたため、値上がりの動きがより大きくなったとされています。
身近な例で言えば、海外旅行のときに円安だと「同じ食事なのに日本円で払うと高く感じる」経験に似ています。買うものの中身は変わっていないのに、支払う円が増える——それが国レベル・原料レベルで起きているのが今の状況です。日本は塗料に限らず多くの原料を輸入に頼っているため、為替の動きは、私たちが思っている以上に暮らしのいろいろな値段に影響しているのです。外壁塗装の値上がりも、その大きな流れの一部だと考えると腑に落ちやすくなります。
原料が高くなっただけじゃなくて、円安で”買うのに必要な円”まで増えてるってことか。だから余計に上がってるんですね。
そうなんです。原料高と円安のダブルパンチ。どちらも塗装会社や施主にはどうにもできない外の事情なので、”誰かが不当に上げている”わけではない、というのは知っておいてほしいところです。
ウッドショックとの共通点
今回の塗料の値上がりは、少し前に話題になった「ウッドショック」とよく似ています。ウッドショックは、世界的な木材の需給の乱れで木材価格が高騰し、住宅の建築費が上がった出来事です。
- 原料そのものが高騰した(木材/ナフサ)
- 世界的な事情で起きた(個々の会社では止められない)
- 末端の価格(家/外壁塗装)まで影響が届いた
このように、「原料ショックが、めぐりめぐって消費者の負担にまで届く」という構造は共通しています。今回の塗料の値上がりを「塗料版のウッドショック」と考えると、全体像がつかみやすくなります。
そして、ウッドショックから学べる大切なことがもう一つあります。それは、こうした原料ショックは、時間の経過とともに落ち着くこともあれば、水準が変わったまま続くこともあるということです。ウッドショックのときも、価格が一時ほどの勢いではなくなった一方で、以前とまったく同じ水準に戻ったわけではありませんでした。塗料の値上がりも同じで、「いつか完全に元通り」と期待しすぎるより、今の水準を前提にどう動くかを考えるほうが現実的です。過去の似た出来事を知っておくと、今回のニュースにも冷静に向き合えます。
値上がりするのは塗料だけ?
値上がりしているのは、いわゆる「塗料」だけではありません。ナフサを原料とするものは幅広く、シンナー(薄め液)や、外壁塗装で使うさまざまな石油由来の材料も影響を受けます。
- シンナー・溶剤:石油由来の割合が高く、値上げ幅が大きいと報じられています
- 付帯部の材料:雨どいや軒天など、樹脂系の部材も石油と無関係ではありません
- 関連資材:塗料以外の建築資材も、同じ流れで値上がりの動きが出ています
つまり、外壁塗装にかかる材料費は、塗料単体ではなく、周辺も含めてじわじわ上がる可能性があります。見積もりが以前より高く感じられるのは、こうした複数の値上がりが重なっているためです。
塗料代だけじゃない|外壁塗装全体で上がっている費用
見積もりが上がって見える理由は、実は塗料代だけではありません。外壁塗装の費用は、材料費・人件費・足場代・運搬費など、いくつもの項目の合計で決まります。そして今、その多くが同時に上がりやすい状況にあります。
- 人件費:塗装業界は職人の高齢化と人手不足が続いており、工事に必要な人の手配コストが上がりやすい
- 足場代:足場に使う鋼材も、資材価格の上昇の影響を受けます
- 運搬・燃料費:材料や機材を現場へ運ぶためのガソリン・軽油代、トラック手配のコストも上昇傾向
- 塗料・副資材:ここまで見てきたナフサ・円安由来の値上がり
このように、「塗料が上がったから」だけでなく、工事を支える周辺のコストもまとめて上がっているのが実情です。見積書を見て「思ったより高い」と感じたときは、塗料代だけでなく、こうした背景全体が反映されていると考えると納得しやすくなります。
逆に言えば、値上がりのすべてを「塗料代」で説明することはできないということでもあります。もし見積もりの中身が気になるときは、「材料費」「足場代」「人件費」といった項目ごとに内訳を見せてもらうと、どこにコストがかかっているのかが見えてきます。内訳を丁寧に説明してくれる業者かどうかは、信頼できる会社を見分けるひとつの目安にもなります。値上げが続く時期だからこそ、「何にいくらかかっているか」を一緒に確認できる相手を選ぶことが、納得のいく工事につながります。
値上がり幅は塗料の種類で違う?
「どの塗料も同じだけ上がるの?」と気になる方もいるでしょう。結論としては、塗料の種類やグレードによって、値上がりの幅には差があるとされています。
ポイントは、その塗料が石油由来の成分をどれだけ使っているかです。溶剤(シンナー)を多く使うタイプの塗料は、石油由来の割合が高いぶん、値上がりの影響を受けやすいと報じられています。一方で水性タイプでも、樹脂などにナフサ由来の原料が使われているため、影響と無縁ではありません。
- 溶剤系の塗料:石油由来の割合が高く、値上げ幅が大きめと言われる
- 水性系の塗料:溶剤系ほどではないものの、原料の値上がりの影響を受ける
- グレードの高い塗料:使う樹脂によっては、値動きの出方が変わることも
ただし、どの塗料を選ぶかは値上がり幅だけで決めるものではありません。耐久性やご自宅の状態、予算とのバランスで選ぶのが基本です。具体的な価格や値上げ率は時期やメーカーによって変わるため、最新の金額は見積もりの際に業者へ確認するのが確実です。
施主にとって、これは何を意味する?
ここまでを施主の視点でまとめると、意味は次の2つです。①外壁塗装の費用が上がりやすくなっていること、そして②時期によっては材料が入手しづらいことです。
ただし、慌てる必要はありません。外壁塗装の費用は塗料代だけで決まるわけではなく、材料費が占める割合は一般的に2〜3割程度とされます。だから、塗料が上がっても、工事の総額がまるまる同じ割合で上がるわけではありません。値上げの背景を正しく知ったうえで、ご自宅の外壁の状態とあわせて冷静に判断することが大切です。「今やるべきか・待つべきか」の判断は、ナフサショックで塗料値上げ|外壁塗装は今やるべきか待つべきかでくわしく整理しています。
値上がりのなかで、施主にできること
「値上がりの理由は分かった。では、施主としては何をすればいいの?」——ここで大切なのは、あわてて即決しないことです。値上げの動きは世界規模の事情で起きていて、数日単位で大きく変わるものではありません。だからこそ、落ち着いて次のような準備をしておくのがおすすめです。
- まず自宅の外壁の状態を知る:ひび割れ・色あせ・チョーキング(触ると白い粉がつく)などの劣化サインが出ているかを確認する。判断の基準は「値上げのニュース」ではなく「わが家の状態」
- 複数の業者から見積もりをとる:同じ工事でも会社によって金額や提案は変わります。内容と価格を見比べることで、適正かどうかが判断しやすくなります
- 「今だけ」「すぐ契約を」と急かす営業には慎重に:値上げを理由に過度に不安を煽る勧誘には、いったん立ち止まる姿勢が大切です
値上げの背景を知っておくと、こうした判断が落ち着いてできるようになります。知識は、必要以上に不安になったり、急かされて損をしたりしないための”お守り”のようなものです。
まとめ|「原油→ナフサ→塗料」を知れば値上げが分かる
塗料が石油からできてて、その原料のナフサが上がったから値上がりしてる…って、やっとつながりました。ニュースの意味が分かるようになりました。
その”つながり”が分かれば十分です。値上げは世界規模の事情で起きていて、誰かがぼったくっているわけじゃない。背景を知って、あとは自宅の状態で冷静に判断すれば大丈夫ですよ。
塗料が値上がりする理由は、原料であるナフサ(石油由来)の高騰にあります。最後に、ポイントをまとめます。
1. 塗料は石油からできている:樹脂や溶剤の多くがナフサ由来。だから原油・ナフサが上がると塗料も上がる 2. 原因はナフサだけじゃない:原油高に加えて、円安・物流費・人件費など複数の事情が重なっている。個々の会社では止められない世界規模の動き 3. 総額がまるまる上がるわけではない:材料費は工事全体の2〜3割程度。背景を知って、ニュースではなく”わが家の状態”を基準に冷静に判断を
値上げのニュースの「なぜ」が分かれば、必要以上に不安になったり、煽られて即決したりせずに済みます。仕組みを知ったうえで、ご自宅にとって最適なタイミングを選んでください。
よくある質問(FAQ)
Q1ナフサとは何ですか?
Q2なぜナフサが値上がりしたのですか?
Q3塗料の値上がりはいつ落ち着きますか?
Q4値上がりしているのは塗料だけですか?
Q5塗料の値上がりはナフサだけが原因ですか?
Q6円安はなぜ塗料の値上げに関係するのですか?
Q7値上がりを理由に、今すぐ塗り替えたほうがよいですか?
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